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  • 執筆者の写真山本雄士ゼミ学生スタッフ

開催報告:2019年度第9回〜変革のためのリーダーシップ〜



【1月ゼミ開催報告】

1/18日に開催されました、第9回ゼミの報告をさせていただきます。

ケース:"GE's Two-Decade Transformation: Jack's Welch's Leadership"


本ゼミのディスカッションは、45歳でGEのCEOに就任し、40万人もの社員を束ねて革新をもたらし続けたウェルチの業績についてかみ砕くところから始まりました。


プレゼミでは、ウェルチの功績とその戦略についてグループ内で共有しました。ケースを読んでいるとウェルチがいとも簡単に様々な戦略を成し遂げてきたようにも感じましたが、87年に大規模なリストラをし、人員を29万人まで削減したにも関わらず、売り上げは約1.8倍にまで引き上げたことは、飛びぬけた実力の持ち主だったからこそできたことだということを冒頭で再確認しました。


しかし先生曰く、ウェルチの戦略が光ったことには、時代的な背景も味方していたのです。80年代のアメリカは、まだマーケティングという概念が普及していなかった時代であり、商品をたくさん作ってばらまけば買ってくれるというような状態でした。毎回触れることですが、ケースの題材となっている話は結果論であり、その戦略が必ずしも”正しい”とは限らず、今再現したとしてもうまくいく保証はないものだということが良く理解できる話だったと思います。


その後、会社でのお金のフローとストックについてざっとおさらいし、ウェルチが打ち出した戦略について丁寧に取り上げていきました。まず、まだ社員が40万人もいる頃に階層を減らすという組織改革を行ったことに注目しました。階層を減らすと、CEOといったトップの人から下位層まで見通しやすくなり、トップの人がグリップをきかせやすくなる反面、1チームあたりの負担が増えるというデメリットもあります。一定の成果は見込めますが、各チーム内での統制を保つことは難しい場面もあったのではないかと感じましたが、それを裏付けるかのように、同時に大規模なリストラを行ったという話に移行しました。ケースの後半にも出てきましたが、社員のセレクトは非常に厳しいもので、相対的に成果を残せない人は一刀両断といった印象でした。しかし、そのようなシステムを取ることで質の良いチームを作ることができたのでしょう。


次に業界のNo.1かNo.2になれない事業からは撤退する、という行動について考えました。これは企業戦略と言えるのか、という論点では、会社の存続のためには必要な選択であるとか、長期的には意味をなさないのではないかといった相反する意見もありました。しかし、その会社単体について考えるのではなく、産業全体を俯瞰すると、その会社のNo.3以下を切り捨てるということは、他の会社がその業界で利益を得ることに繋がり、市場のバランスが取れるかもしれないというメリットがあることがわかりました。また、ここで言う”切り捨てる”というのは事業を売却するということなので、キャッシュが入ってくることを示します。先ほども述べたような時代背景からすると、勝てるところに集中していけば良い、くらいの多角化で良かったからこそ功をなしたことが伺えました。


日本語では曖昧に使われてしまうことがある、効果的(effective)と効率的(efficiency)の違いについて意見を出しました。ここでは参加者より、効果的=アウトカム・インパクトの大きさ、効率的=(効果が出ている前提での)割くリソースの小ささ、という鋭い見解が飛び出しました。何事においても、まずは必要な効果を考え、その効果が得られた上で効率について考える必要があることを理解しました。これは、効果が出ている上でのウェルチの「何をするかよりも、どうやってやるか、に注力すべきだった」という言葉からも伝わってきたのではないでしょうか。


ディスカッションの終盤では、ケースの後半に書かれていたウェルチの戦略について取り上げます。在庫についての話では、サプライチェーン・マネジメントの大切さを、家電や医療機器などを多様な例を通して知ることができました。

リーダーの育成においては、ウェルチはパフォーマンスよりも会社のカルチャーを重んじる行動パターンを作った、とありましたが、これも結果論として成功したというだけで正しかったのかどうかはわかりません。しかし、最高のパフォーマンスをする人材ばかりを集めても、それぞれが別々の方向を向いていては大企業として成立するのは難しいことは、容易に想像できたのではないでしょうか。


そして、懇親会でもちらほら耳にしましたが、インパクトがあったのはやはり”ストレッチ”ではないでしょうか。突出した目標を設定し、それに対して評価をするという”ストレッチ”ですが、様々な意見が出ました。もし仮にこれを80年代にやっていたら、ただの空回りで終わっていただろうという意見がありましたが、ストレッチが意味を成すのは、地道に築かれた基礎があって、そこから新たな発想の展開が必要になったフェーズに達した時だと感じました。この他にも、不良品割合の低下のためのシックス・シグマ、人材を選ぶ時の4つのE(energy、energize、edge、execution)、ネット事業への進出など、任期を満了するまで数多くの変革に着手してきたことを確認し、最後のまとめに入りました。


まとめでは、ウェルチは何を貫き通したのか、一流とは何か、という点について、参加者から自由に意見を出してもらいました。何を一流と考えるのか、またそれを身に着けるための方法などは、発言者の信条や経験、周りの環境など様々な因子が影響しているように感じられ、非常に興味深いものでした。また最後に、ウェルチは”人”を重要視した経営者であったことにフォーカスし、約20~30年前の時代に、社員を育てることにいち早く価値を見出した上に、それを実現させた彼の力を再確認したところで、今回のディスカッションは幕を閉じました。

先月のケースに引き続き、医療が舞台ではないケースでしたが、他分野でのビジネスモデルは他の分野でも応用がきくものだと改めて感じました。しかし、それぞれの分野ごとに特徴があり、それに柔軟に対応していく必要があります。多様な経験や知識を持つ参加者の方の見解に触れることで、知らなかった世界を垣間見ることができ、その柔軟性を身に着けることに非常に役に立つのではないかと感じました。

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