• 山本雄士ゼミ学生スタッフ

開催報告:2019年度第4回〜製薬研究開発のインセンティブ設計を考える〜



【ケース:Wyeth Pharmaceuticals: Spurring Scientific Creativity with Metrics】

今回は、製薬会社WyethでラフォロCEOが行った大規模な改革「NWW(New way of working)」の内容を解き明かすケースを用いてディスカッションを行いました。 まず、医学部の授業では全く取り扱われない「創薬プロセス」について、承認前のみならず承認後まで含めた整理を行いました。そのプロセスを読み解くことで、創薬研究の難しさを理解した上で、新薬を作り続けなければならない理由、投資回収期間の短さが生む問題、承認=収載である現在の状況等について、参加者からの発言を基にしながら考えました。 以上の議論により創薬研究の前提背景を共有した後、ラフォロの行った改革の具体策 ・基準の明確化 ・中央集権体制への体制変換 ・成果主義によるインセンティブ制度 に関して、それぞれのメリット、デメリットを列挙していき、最終的に改革はうまく行ったのか、という問いについて議論を深めました。「研究はArtであるかそれともProcessであるか」の認識は、「研究開発ラインをプロセスで判断するのは正しいのか」という問いに直結します。ちなみに、ゼミ参加者の約9割が「研究はArtである」と答えました。創薬をプロセスと捉えて行われた改革について考察することで、会社にとっての正義とは何なのか、会社にとっての本質的な強みはどこにあるのか、と言った組織構造の本質についての示唆に富んだディスカッションとなりました。さらに、現在 “cost-base” で行われている薬の評価、(=開発費用や原材料に利益を上乗せした薬価設定)は、 “value-base” (=患者への健康上のベネフィットの大きさ)で行われるべきではないか、という製薬業界への根本的な問題提起もなされ、製薬関係の方にもそうでない方にも大きな学びとなったことと思います。

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