先日9月23日(月)に、地域医療人材育成講座・gimセンター(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)様・中四国若手医師フェデレーション様のお招きをいただき、岡山で出張ゼミを開催致しましたのでそのご報告をさせていただきます。
======= 出張ゼミは以下のような流れで行われました。 ・ゼミ長によるゼミの紹介 ・山本先生によるレクチャー:ゼミでの振る舞い方とMBAで学ばれたことについて ・ケース①:U.S. Healthcare Reform: International Perspectives 昼食 ・山本先生による午前のレクチャーの続き ・ケース②:Cleveland Clinic: Transformation and Growth 2015 ・山本先生によるレクチャー:糖尿病の歴史とミナケアの事業について
以下、ケースと山本先生によるレクチャーについてご報告致します。
======= 【ケース①:U.S. Healthcare Reform: International Perspectives】オバマケアのもたらした改革の意味を、ドイツ・イギリスの医療制度改革を参照しながら紐解くケースです。 ケースディスカッションは、ケースの中でどの国の保険制度が良いか、そしてなぜそれを良いと思うのかというところから始まりました。議論の中で、どのプレイヤーの視点に立って話しているのか混同しがちであるという点を山本先生が指摘され、改めて整理すべく医療業界のプレイヤーとその間の関係性の列挙を行いました。その後、ケースで登場した各国における保険者について再定義され、医療業界におけるパワーバランスを理解しそこで保険者がどのような振る舞いをしているのかを把握することが重要であると強調されました。同時に、医療提供者は説明責任があるにもかかわらずそれを果たしていないのが医療における重要な問題であると指摘されました。その後、現行の医療における問題点を指摘され、それらが山本先生から出席者に対して提起される形で終了となりました。 各制度の深掘りというよりも医療制度を検討する際の視座を参加者に共有してもらうゴールを達成できた回となりました。
======= 【ケース②:Cleveland Clinic: Transformation and Growth 2015】ケースディスカッションは、なぜクリーブランドは強いのかという点からスタートし、ケースを元に様々な意見が飛び交いました。その中でも、アウトカム(手術成功率など他己評価によって得られる結果)とアウトプット(手術件数など自己評価で得られるもの)のgapを認識することが重要であるという点と、糖尿病や認知症といった病態ごとにユニットを再編することでpatient firstに繋がる点が全体で共有されました。そしてpatient firstの理念に基づき人気を獲得したことが、クリーブランドが成功した理由の1つであることを強調されました。次に、病院のユニットを「循環器内科」「心臓外科」といった従来の専門診療科ではなく、「冠動脈疾患ユニット」「弁膜症ユニット」のように疾患区分に対応したものに再構成したことに関して、実際に現場医師を説得する難しさを、ロールプレイングをしながら体感しました。その後、人はお金や承認欲求だけでなく裁量権も求めるものであり、それに対して経営側としてどう振る舞うべきか説明を受けました。その後、クリーブランドが目的意識を持ってIT化を進めていったことと、変革を常にもたらすことができていたことが成功に繋がったと説明され、こうした経営方針をとる上でCEOが説明責任と成果責任を果たすことが重要であるとの結論に至りました。 行った改革が多岐にわたり、地域医療システムなどディスカッション出来なかったテーマもありましたが、その一方で、参加者の方々の関心があることや、経営において重要な点を抽出して取り扱うことができ、参加者の方々にも大きな学びをご提供することができたと感じていました。
======= 【山本先生によるレクチャー:ゼミでの振る舞い方とMBAで学ばれたことについて】午前の部ではまずゼミでの振る舞い方とMBAで学ばれてた内容について説明があり、基本的な財務諸表の読み方についてレクチャーを受けました。 その後U.S.ヘルスケアのケースを受け、保健医療の進歩について説明があり、なぜ健康保険ができたか考え、今日における医療の価値が何なのか考えることが重要であると強調されました。そして医療がこれまでの感染症時代から慢性疾患時代に突入していることを受け、どうやって医療のやりくりをするのか、そして我々が医療をどうしたいのか考える必要があると問題提示されました。
======== 【山本先生によるレクチャー:糖尿病の歴史とミナケアの事業について】まず糖尿病の歴史について説明があり、その後医療が直感型から経験医療、精密医療へと変遷しているという説明を受けました。その後技術の進化の流れについても説明があり、最新の医療が高度医療機関から自宅、生活へともたらされるまでにロケーションの分散とシチュエーションへの多様化が必要であると説明されました。再び糖尿病の話があり、糖尿病の重症患者にまだまだ医療が普及されていないという現実があることを指摘されました。その上で、現在の医療における課題が何であるか再認識する必要性が説かれ、最後に山本先生が代表取締役を務められている株式会社ミナケアの事業についてご説明があり、出席者からの質問を受けて終了となりました。
======= 【総評】 様々な角度から展開されるディスカッションやレクチャーを通じて、参加者が今後の医療や医療制度のあり方を考える上で非常に有意義な会となったことと思われます。
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